アンティークジュエリー物語n.11
古典様式の18 ~ 19世紀へ
メンズ ジュエリー III

コラム n.10 メンズ ジュエリー II  から続いて、このn.11 ではクラシック・マスキュランをテーマに、男性に焦点を当てたヒストリーをご紹介しています。

18世紀後期のフランス、ルイ16世時代から19世紀にかけて、ルネサンス時代からすでに始まっていた、古代ギリシャ・ローマの古代遺跡は、男性達を再び虜にします。
「 古典スタイル 」は、端正で研ぎすまされた美しさ、深い洞察力をたたえた古代の芸術品は、知的好奇心を呼び覚まし、思想は装飾品や服装へ反映されました。

蝋燭の光でグラディエーターを観る3人の男達 ライト作 1765年 個人像

よりマスキュランに、よりシンプルに、ルイ16世王の時代にはすでに、家具や建築物へ大きくその影響を受けています。

ローマ・カラカラ帝の浴場跡 ~ ヴィラ・マッティからの眺望 ルシィエリ作 1781年

18世紀後期は、王朝文化の豪奢が洗練され、同時に古代の影響が同時進行した時代です。
発掘されたカメオやインタリオが王侯貴族の元へもたらされ、宮廷人は装飾の控えめな良い素材で仕立てた装いに、古代の指輪を着けました。

ジュゼッペ・フラヴェガの肖像 ジロデ作 1795年 フランス マルセイユ美術館

前世期の、華麗な刺繍や織物は儀式の時のみになり、力強い外見に、哲学に基づいた知性と芸術性豊かな内面という古代の皇帝の趣味に習うようになります。

ハドリアヌス皇帝像  インタリオの指輪 個人蔵

古代皇帝をよみがえらせたナポレオン、軍人という強さと、古代文化の知性を取り入れた時代です。
ナポレオン皇帝時代の軍服は、ヨーロッパで最も美しいスタイルとされ、各国が模倣し、今でも軍服の基本となっています。


古代神話の彫られた金の指輪は、黒や濃紺の装いに映えました。

むやみに装飾を無くすのではなく、「 最も美しい線 」をとらえたジュエリーや装いへ、現代の男性ファッションの基本が出来上がった時代でした。
この基本は、コラムn.12へご紹介する後世のダンディ達へ受け継がれていきます。

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