アンティークジュエリー物語n.3
ロングジュエリーの装い
ソートワールの魅力
「 ソートワール 」とは、胸もとから腰まで垂れる首飾りを指す宝飾用語です。
源泉はフランス語、もともとは、長い紐状のものを アン・ソートワール( X形に交差 )させてオブジェを身につける方法を言い、Xの形は十字架を意味していました。
18世紀末には、肩から胸元へ添わせ身につける長いチェーン状のものとそれに飾ったオブジェなどの装飾品をさし、19世紀に入ると、女性が首から肩、胸もとと上半身を取り巻くような長い首飾りや、女性だけでなく男性の懐中時計を付けるチェーンのことも呼ぶようになります。
装飾性の高いドレスの時代には、数mにも及ぶチェーンを、ドレスに縫い付けられたパーツへ通したり、ブローチで留めるなどしながら何重にも巻き付けたスタイルもありました。
ソートワールは、金銀やプラチナ、宝石や真珠に翡翠、エマイユなど様々な素材を使い、時代や様式によりあらゆるデザインで作られています。
ベルエポック期には上の画像のように、長く垂らす、何重にも巻きつける、トップへ飾りをつける、他のジュエリーと組み合わせる・・・など工夫を凝らしたお洒落を楽しんでいます。
特にこの時代のジュエリー使いは、現代にも通じるモダンな感覚に溢れていますね。
上の王冠を着けた貴婦人は、帝政ロシア最後の皇后アレクサンドラ、
カルティエのドッグ・ネックレスと、腰まであるチェーンのソートワールを垂らしています。
この皇后はジュエリーだけでなく、大胆な化粧法でも有名でした。
いずれコラムでもご紹介を差し上げたいと思います。