アンティークジュエリー物語n.27
シャポゥへお洒落
帽子とジュエリー

ヨーロッパではいにしえから、帽子のお洒落がかかせません。
美的や儀式のためだけでなく、とりわけ寒さの厳しい冬や、緯度の高さのせいで陽射しが一層強い夏のために、今でもブティックでは、お洒落と実用をかねた豊富なデザインの帽子が見られます。

帽子は、フランス語では「 シャポゥ 」と言いますが、日本では明治時代に「 シャッポ 」や「 シャポー 」として帽子が輸入されました。
明治から大正生まれの方が、帽子のことをこのような呼び方をされているのをご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はそんな帽子へのお洒落として、アンティークジュエリーならではのオブジェをご紹介致します。


1900年前後のフランスは、「 ベル・エッポック 」呼ばれる時代でした。
貴婦人達が、長い髪を大きく結い上げ、沢山の飾り付き帽子を被るのが当時のモードでした。


大きな帽子を髪に留めるためには、「 ハットピン 」は欠かせないジュエリーで、必ずといっていいほど着けられています。
当時、女性の帽子はマナーの一つでもあり、被らない女性はきちんと扱ってもらえず、教会やレストランでも被ったままで過ごすのが普通でした。


当時のハットピンは、帽子と髪型の大きなサイズにあわせた、このような長さのものがありました。

こちらは カルティエ製 のハットピン、ピンの長さは17cm、ロワイヤルブルーのギヨシェエマイユと、白のエマイユが美しく、ギヨシェ・エマイユの中央にはダイヤモンドがセッティングされた逸品です。


今のヨーロッパでは、ハットピンはコレクションへ、あるいは、装飾を楽しむためにペンダントやブローチに作り替える方もいらっしゃるくらい、精緻な作りと美しいデザインが魅力です。


さて、1920年頃を過ぎますと、モードは、刺繍やレース、絹地やベルベットなどの豪奢なディティールはそのままに、よりシンプルなシルエットへと移ってゆきます。
帽子もより小さく、現代のお洒落へ通じるデザインへ変わってゆきます。


帽子が小さくなったため、ハットピンの他にブローチを留めるお洒落も登場しました。
この女性は、1929年の「ココ・シャネル」、現代のモードの基礎を作ったといえるパリのクチュリェールです。
彼女は、帽子の正面に真珠のハットピンを着けています。


このハットピンが面白いのはピンの両方の先に真珠がついていること、シャネルの好んだ真珠づくしのジュエリー使いです。
このあとも時代とともに帽子はデザインが変わり、より現代の女性のお洒落に近づいて行きます。
次のコラムn.28では、当時ならではの綺麗な帽子をご紹介致します。

画像のジュエリーはカタログでご覧いただけます、詳細はお問い合わせ下さい。

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