N°1031 バーグ・ド・メッサージュ ケース型アンティークリング
19世紀前期のフランスの、仕掛けのあるアンティークジュエリーをご紹介致します。
「バーグ・ド・メッサージュ」とはフランス語で「メッセージの指輪」のことで、指輪の正面にメッセージを入れる開閉型ケースを作ったジュエリーです。
まず側面を見ますと、下に突起が見えます。これがケースの開閉パーツになり、
縦のサイズ8mmの正面のケースが開きます。
蓋は蝶番でセットした本物のケースと同じ技法で作ってあり、開閉パーツはカチリと閉まる素晴らしい宝飾技術です。
19世紀当時は中へ、愛する人々、家族や恋人にまつわる思い出の小さな手紙や髪、宝石など人の印を入れて身につけていました。
18金製で、リング全体に彫金を施してシャンルヴェ・エマイユで装飾しています。
シャンルヴェ・エマイユとは、台座に彫金で凹凸を施し、凹の部分へエマイユをつけるエマイユ(七宝)技法です。
この指輪は、リング全体を8つのフレームで作り、中に装飾モノグラムで飾っています。
一方の側面では、黒、青磁色、淡い桃色、
続いて後ろ面は、黒、青磁色、水色、
もう片方の側面へは、黄色、ラベンダーブルーです。
フレームとフレームの間の上下は金粒で飾ってあります。
正面のケースは2つのエマイユ技法を使ってあります。
背景の白い部分は「ギヨシェ・エマイユ」で、線彫り彫金を付けた台座へ白の半透明エマイユを施し、下の彫金が透けて見える七宝技法です。
花の文様のところは「シャンルヴェ・エマイユ」技法で、彫りの凹凸の凹へエマイユを施し、凸の18金が模様になる七宝技法です。
ケースの蓋には赤い薔薇、
開けた下には青いわすれな草、チューリップの花や葉が彫ってあり、同じく彫金とエマイユで飾っています。
赤は半透明のエマイユで下地の18金と彫金文様が透けて見え、光が当たって輝きます。
19世紀前期の王政復古時代(※下記参照)の指輪で、当時のアンティークジュエリーは現存も希少です。
薔薇は愛のシンボルで、フランスらしいデリケートなエマイユの色も魅力の、バーグ・ド・メッサージュの指輪です。
◯ エマイユ・シャンルヴェ_エナメル_七宝
土台となる金属を彫金し、凹凸をつけ、凹へ、凸の金属と同じ高さになるまで何度もエマイユ焼成をし、その上で表面の研磨を重ね、凹凸が同じ高さになるよう仕上げるエマイユ技法。彫刻のパターンによって、様々な文様を金属とエマイユで描いたように仕上がり、エマイユの色彩も単色から多色、透明から不透明まで様々なテクニックを使えるため、見た目に凝ったデザインが出来上がる。フランス語では「エマイユ・シャンルヴェ」、英語では「シャンルヴェ・エナメル」、日本では「生地彫り七宝」と呼ばれる。
◯ ギヨシェ・エマイユ_エナメル_七宝
「ギヨシェ」とは、金属の土台に細かい文様を浅く線刻した上に、色付きの透明エマイユ(エナメル)を施す技法。
文様は直線、放射状、同心円、波型などの幾何学模様が基本で、いくつかを組み合わせる場合もある。
エナメルから下の彫金文様が透けて見え、モアレ織物のように光を反射して輝き、特にさまざまな文様があるのはアンティークジュエリーならではの技法である。
フランス 19世紀第二四半世紀
素材: 18金・エマイユ
サイズ:L0.8cm
リングサイズ:12.5-13
(サイズ直し不可)
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Ring
France 19th century 2nd quarter century
Material: 18K gold, Enamel
Size: L0.8cm
Ring size: 12.5-13
Price : Please contact us ▽