N°0911 マルタクロス 古代細工アンティークブローチ
フランス、19世紀前期のアンティークジュエリーをご紹介致します。
この
ブローチは王政復古時代と呼ぶ時代のジュエリーで、マルタ・クロス型のエカイユ(鼈甲)へ、18金で古代の宝飾技法で全面を装飾し、天然真珠とルビーをセッティングしています。
下方には、エカイユにフィリグリー細工の小さなクロスとハート形のモチーフと金の珠をチェーンでセットし、揺れており、裏面を見ますと、ビス留めによるしっかりとしたセッティングがわかります。
全体の装飾が見事で、
下の画像のハート型はサイズが約2mmで、その周囲のフィリグリーの細さがわかりますし、
下の画像の真珠の金モール刺繍のような縁取りは「カンティーユ」細工、金粒をセットしているのは「グラニュレーション」細工です。(技法については下方をご覧下さい。)
このマルタクロスのアンティークブローチは、11世紀に起源を持つカトリックの聖ヨハネ騎士修道会(マルタ)の縦横が同じ長さで、先が8つに分かれた十字架をかたどったアンティークジュエリーです。
身に着けますと、細かい作りとシメントリーの形の美しさが際つ、繊細なアンティークジュエリーです。
※ フィリグリー 宝飾技法_細工
「フィリグリー」とは、宝飾師により、主に金や銀などの貴金属を糸のように細く作った線状のものを、コイル状に巻き上げたり、縄編み状や粒彫金を施し、それらを溶接して作りあげる宝飾技法。
フレームを土台に様々な文様を作る、土台を使わず線だけで透かし文様(オープンワーク)を作る場合もある。宝飾師がミリ以下の単位の線から作る細工は、機械では不可能な、レース編みのような細やかさがある。元来この技法は、古代遺跡から発掘された古代ギリシャやローマ時代の宝飾品に使われていた細工で、19世紀の宝飾師の研究により復刻された技法でもある
※ カンティーユ 宝飾技法_細工
「カンティーユ cannetille」はフランス語で、源泉は「カンヌ」という籐細工を指す。金属の細い線をカットしてろう付けし、糸で刺繍をするように、巻き型装飾を付ける宝飾技術である。ろう付けを重ね、金モール飾りのような立体的な装飾も可能である。フィリグリー細工をより立体的に仕上げたものとも言える。
※ グラニュレーション 宝飾技法_細工
金属の台座に非常に小さい粒状、球状のものをろう付けする技法で、パターンに合わせて文様的に装飾をつける。日本では「粒金」と言われる。古代のエトルリアの金細工が遺跡から発掘され、19世紀にローマのジュエラー「カステラーニ」などによって技法が研究され、古代のものは0.18mmほどのサイズがあり、完全な復元とはなっていないが、近しい細工を作ることが可能となった。古代当時の技法は完全には解明されていない。
※ シャルル10世王 フランス王政復古時代 時代名称_様式
1814年のナポレオン1世皇帝の失脚後、1830年まで続いたブルボン王朝による立憲君主制。まずルイ18世が復位した。ルイ18世は18世紀前期のルイ15世の孫で、兄はルイ16世、1755年にヴェルサイユ宮殿で誕生する。逝去後の1824年に弟のシャルル10世が続いた。シャルル10世王はマリーアントワネットとも仲良く、もっとも王らしい王と言われる。1830年までの王政期には、18世紀のブルボン王朝様式やマリーアントワネット好み、中世、ルネサンス時代様式が復活し、ネオ・ゴシック、ネオ・ルネサンスといった工芸美術が流行する。1830年にはオルレアン朝のルイ・フィリップ王が即位し1848年まで在位した。一般には、1814-1848年を「フランス王政復古時代」と呼ぶ。
フランス 19世紀前期
素材: 天然真珠・ルビー・18金・エカイユ(鼈甲)
サイズ:L9.1cm W5.6cm
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Maltese cross Brooch
France-early 19th century
Material: Natural pearl, ruby, 18K gold, Tortoiseshell
Size: L9.1cm W5.6cm
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