N°1699 カルティエ – カフスボタン マルタ騎士団オーダー
フランスのグランサンクのひとつ、カルティエの1920年代のカフスボタン(カフリンクス)をご紹介いたします。
18金製で、直径15mmの円型のボタンは、放射状に23個の三角錐の彫金をつけ、中央に直径3mmのカボションカットのサファイアをセットしています。
このカフスボタンのバーには、フランスの18金刻印のとなりに、マルタ十字が彫ってあります。
マルタ十字はマルタ騎士団のシンボルで、このカフスボタンはマルタ騎士団メンバーの注文品でした。
また、カルティエの刻印はボタン裏面にあります。
アールデコのデザインも魅力ですが、このカフスボタンのカルティエらしさは、着ける仕組みにもあります。
それは、片方のボタンの中央裏の、ボタンとバーの繋ぎを丁番(蝶番)式につくり、下の画像のように平たい状態でボタンホールへ通したあと、ボタンを90度回転し、留めるつくりです。
丁番(蝶番)は、平と縦の各位置でかちりと留まり、留めた後は動くことなくシャツのカフスを支えます。
このような作りはカルティエならではと言えるでしょう。
マルタ騎士団は、11世紀の十字軍遠征の時代に、聖地エルサレム巡礼者の宿泊と医療に奉仕するため、西欧カトリック諸国の貴族が結成した修道会です。
かつては地中海のロードス島やマルタ島に国として領土を持っていましたが、18世紀末にナポレオン軍に追われて領土を失いましたが、現在も「国土なき国家」としてローマのマルタ宮殿に中央政府をかまえ、112の国と国交をもち、世界中で医療と奉仕を続けています。
青と黄金の色彩やグローバルデザインのストライプ状の彫金はシンプルゆえ、さりげなくジャケットとシャツをストライプで揃えたり、ブルーや白のシャツでカフスボタンを引き立てたりとコーディネイトが広がります。
このカフスボタンの時代の、フランスの詩人ジャン・コクトーは、カルティエの3連リング「トリニティ」をデザインしたことで知られていますが、彼もカルティエのカフスボタンを愛用していたそうです。
角を丸くカットした袖口が、コクトーのアーティスティックな雰囲気に似合っていますね。
ところで、ステッキは友人の画家サルバトール・ダリのデザインだそうです。
一見普通に見えて、コクトーならではの趣味が装いから感じられます。
カルティエのアール・デコらしい黄金比率のデザインの、カフスボタン(カフリンクス)です。
カルティエ
フランス 1920年代
素材:サファイア・18金
サイズ:直径1.5cm バーの長さ1.8cm
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Cartier
France 1920s
Material: Sapphires, 18K Gold
Size: diameter 1.5cm, bar length 1.8cm
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