N°2061　カルティエ　- カドケウスの杖 ブローチ

パリの宝飾商カルティエのジャボットピンをご紹介いたします。
1910年代の作品で、縦52mm、幅24mmのサイズのプラチナフレームにダイヤモンドと天然真珠をセットしています。

デザインは「カドケウスの杖」です。
「カドケウスの杖」とは、古代ギリシャ神話のヘルメスの持つ伝令の杖で、杖に絡む蛇を模ったものです。
ヘルメスは医学や商業、旅や発明の守護神で、「カドケウスの杖」は生命力と超自然の力を宿すとして、持つ者を守護します。

ピンの先にあるストッパーは、正面に置いた状態でセットして着け、ストッパーを90度回して外す仕組みで、着脱しやすく外れないという、当時のカルティエをはじめとしたハイジュエラーならではの作りです。

フレーム全体に細やかなミルグレーンをつけてあり、丸く艶やかな天然真珠がトップを飾っています。

このジャボットピンの同類の作品が、ジュエリー歴史書に掲載があり、この作品は現在カルティエ財団コレクションピースとなっています。
掲載作品はヴェール用ピンブローチで、当時は大きな帽子とヴェールと結った髪を留めたもので、ストッパーはありません。

ルーヴルアンティークでご紹介のこのジャボットピンは、襟元に留めるためのブローチで、ストッパー付となっています。
トップのデザインはカルティエ財団コレクションピースと全く同じもので、当時のコレクションピースであったことがわかります。

1910年代当時のカルティエならではの研ぎ澄まされたデザインと宝飾技術から作りだす、繊細で優雅な印象を持つアンティークブローチです。

カルティエ財団コレクションのヴェール用ピンが、2025年前期にパリで開催された「パリ 真珠の都市」という展覧会へ出展されていました。
その内容については、こちらのページ をご覧ください。