N°0966 フロマン=ムーリス – 葡萄・鳥と蛇 アンティークブローチ
フランスの宝飾メゾン「フロマン=ムーリス」のアンティークジュエリーをご紹介いたします。
このブローチは、18金と銀製で、天然真珠とルビーをセットし、エマイユを付けています。
「フロマン=ムーリス」はパリでゴシック、ルネサンス様式といったヒストリカル・スタイルのジュエリーを先導し、宝飾サロンや芸術装飾博覧会などで多く受賞した、19世紀フランスの代表的なジュエラーです。
高さ71mm、幅62mmのブローチで、モティーフは全て宝飾師による彫金で作ってあり、葡萄の木の、鳥の巣を狙う蛇と、巣を守る親鳥のドラマティックな情景です。
葡萄や卵は天然真珠で、葉の上には、ルビーの露を散りばめ、葉には緑やゴールド、オレンジ色系のエマイユをかけてあります。
「フロマン=ムーリス」のサインはブローチ裏面にあります。
彫金で動植物、人物などの具象的なモティーフジュエリーを得意とした「フロマン=ムーリス」、
このブローチの鳥や蛇、巣の彫金をご覧下さい。
鳥と蛇は銀製、巣は18金製で、翼や羽根を細かく彫ってあるだけでなく、
鳥と蛇の一瞬を捉えたドラマチックな表現をご覧下さい。
躍動感のある彫刻作品のような立体感が見事です。
後ろ面は18金製で、彫金をほどこした枝葉が交差しており、彫刻作品のように宝飾師が仕上げているのがわかります。
下の画像は、1949年フランス博覧会の「フロマン=ムーリス」の展示場で、ジュエリーをはじめ、たくさんの彫金による装飾品が展示してあります。
このブローチは、19世紀中後期に、ルネサンス時代的なジュエリーを得意としたフロマン=ムーリスならではのアンティークジュエリーです。
※ フロマン=ムーリス Froment Meurice
フランソワ=デジレ・フロマン=ムーリス(1801-1855)はフランスのロマン主義芸術家で最も重要な金銀彫刻宝飾作家の一人であり、19世紀におけるゴシック及びルネサンス様式のパリの偉大な工房でもありました。
宝飾箱、ジュエリー、花瓶、化粧台、カップ、燭台など様々なオブジェを、王侯貴族からの注文により金銀や宝石を使った彫刻で創作しました。
ルイ・フィリップ国王やペルシャのシャーの王室注文を受け、1844年と1849年のパリ博覧会では金賞を受賞、1848年にはパリのマドレーヌ寺院の注文、1851年のロンドン博覧会では、現代に至るまでこれを越える金銀彫刻作品はない言われるほどの最も素晴らしい作品として歴史に名を残したパルム侯爵夫人の化粧台を出品しました。
また芸術家として、19世紀フランスの偉大なる作家オノレ・ド・バルザックやヴィクトル・ユーゴーとの親交があるなどパリの芸術家サロンの中心人物の一人でもありました。
フランソワ・デジレの1855年の逝去後、子息のエミール・フロマン・ムーリス(1837-1913)が工房を継ぎ、1867年の博覧会では賞を受け第二帝政時代の最も重要な工房となりました。
フロマン=ムーリス
フランス 19世紀中後期
素材: 天然真珠・ルビー・18金・銀・エマイユ
サイズ: L7.1cm W6.2cm D2.0cm
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Brooch
Jeweler: Froment-Meurice
France, late 19th century
Material: Natural pearl, Ruby, 18K gold, Silver, Enamel
Size: L7.1cm W6.2cm D2.0cm