アンティークジュエリー物語n.45
装いに合わせて
バレンシアガ II

前回の ” バレンシアガとジュエリー ” のご紹介から引き続いて、彼のさまざまなクリエーションとジュエリーの装いをご覧下さい。

さてこの大きな大きな帽子は、鳥の羽根をふんだんに使ったもので、1951年作、ダニーという、バレンシアガの一番気に入りのモデルがかぶっています。


帽子にあわせた大きな真珠のピアスと、幅広のネックレスの組み合わせは、まさにバレンシアガらしい感覚で、夜会にふさわしい華やかさ、女優のオードリー・ヘップバーンが似合いそうですね。
このような華やかさもバレンシアガの魅力ですが、” 黒 “ をテーマにした重厚な装いも特徴です。
下の女性は16世紀スペインのイザベラ女王で、彼は女王からイメージした数々の装いを作っていました。


例えば、この下の女性のボレロは、 ” ジェットビーズ ” を全面に縫い付けたものです。
” ジェット “とは太古の樹木が化石化した黒い石のようなもので、このボレロには、さまざまな形にカッティングし磨きをかけて縫い付けてあります。


ジェットは黒く重々しい素材ですから、ジュエリーも負けないような輝きのものを合わせています。
合わせているのはジェットよりも強く輝く、1940年代のダイヤモンドのブレスレットと、40年代らしい、金に宝石をセットした華やかなイヤリングです。
お互いが引き立ち、とても素敵ですね。
また、彼は以上のような社交界が存在した時代に着られたような華やかなものばかりではなく、シンプルな街歩きのための服も作っています。


肩のカットのきれいなコートやジャケットに、すっきりとしたスカートなど、現代の服の基本になった装いです。
この1950~60年代のツィードのスーツやコートなども古くささを感じさせません。


このような厚手の生地の上着には、ブローチが似合いますし、下の夏の白い装いに着けているような、クリップブローチも素敵です。


このように、クリップ式のダイヤモンドブローチは、四季を問わず、場所を問わず装えるジュエリーの一つです。
クリップではさむため着けやすく、縦、斜め、横と服によって楽しめますし、チェーンを通してペンダントにもなります。

これは1910~20年代のショーメ・パリの作品で、全面にダイヤモンドをセッティングし、中央にはより大きなオールドカットのダイヤモンドが輝いています。


上の夏の白いトップは、” マリニェール ” とフランスで呼ぶ海兵隊スタイルの服ですが、スポーティな装いに合わせたクリップブローチは、着ける人に年齢を超えた瑞々しさを感じさせます。

さて最後にご紹介するのは、まさにバレンシアガらしい、こちらのコーディネーションです。
スペインの民族衣装からイメージしたフリンジ付ケープに、闘牛士のような帽子を着けています。
素朴さを感じる装いへは、民族的なものとは反対の、ダイヤモンドの白い輝きを添えているのが見事です。


1910〜20年代と思われる、揺れるダイヤモンドのピアス に、ダイヤモンドが2個セットされたボリュームリングが印象的です。
現代の装いにも参考になりそうな、素敵な組み合わせですね。

ダイヤモンドは耳と首に同時につけますと、華やかですが場所を選びがち、でもこのコーディネーションのように、耳と指輪、ネックレスと指輪と、離れていると着けやすく、より素敵に見えることがわかります。

スペインで生まれ、パリで才能の華を開いたバレンシアガは、1972年に祖国スペインで逝去しました。
それは、カデックス公爵夫人のウエディングドレスを仕上げたすぐあとでした。
最後の最後までデザイナーであったバレンシアガは今、彼が生まれた場所であるバスク地方のジェタリアで永遠の眠りについています。

画像のジュエリーはカタログでご覧いただけます、詳細はお問い合わせ下さい。

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