N°1360 リヴェリュール 蜻蛉アンティークブローチ
フランスの19世紀末頃のアンティークブローチをご紹介いたします。
「 リヴェリュール 」とはフランス語でトンボのことで、古来、日本では「勝ち虫」と呼び、武将たちの装束や武具へあしらいました。
19世紀末のフランスでは、草や虫を愛する日本美術の影響を受け、蝶やトンボなどの昆虫をジュエリーに仕立てました。
台座は18金へ彫金細工で仕上げ、目にはルビー、中央には天然真珠とルビーをセットしてあります。
このトンボのアンティークブローチが大変珍しい理由に、羽根のギヨシェ・エマイユがあります。
ギヨシェ・エマイユは、エマイユの台座になる貴金属へ彫金で紋様をつけ、その上から半透明のエマイユをかけて下地の紋様を透かして見せるエマイユ技法ですが、このエマイユは宝石のオパールのように光る「オパレッサン - オパール・タッチ」のエマイユで作ってあります。
当時どんな素材で、どんな技法でこの色を出したのかは、今はもう、わかっていません。
今はもう無いオーロラのようなエマイユで、蜻蛉ならではの薄やかな羽根を表しています。
その上、羽根にはプラチナフレームへミルグレーン(粒状彫金)をつけ、ダイヤモンドをセッティングしています。
デリケートな色彩のエマイユを施した羽根へ、エマイユを破損しないようにダイヤモンドをセットするのは、並大抵の技術では無理です。
このような小さな部分からも、当時のトップクラスの宝飾師の仕事が見えてきます。
縦3.1cm、幅4.25cmのサイズで、台座の18金の部分は、彫金仕上げののち、表面をサティネという半艶消し仕上げにしています。
「サティネ」とは、研磨で単にピカピカに光らせたものではなく、シルクサテンのようにしっとりとした輝きの表面仕上げをさすフランス語です。
裏面は18金星で、ブローチパーツはセキュリティシステムに仕上げてあり、しっかりととまります。
18金部分のサティネ仕上げは、宝石のオパールの輝きのオパレッサンのエマイユと似合いデリケートで細やかな印象です。
ある日見かけたグレーヘアのマダムは、上下黒の装いへ、トンボのアンティークジュエリーを胸元へ留めていらっしゃいました。
脱皮し、やがて羽化して飛び立つトンボは、永遠の命や若返りのシンボルとされ、古代から今まで人々に好まれています。
このトンボは、ナチュラルに優雅な美しさを添えるアンティークブローチです。
フランス 19世紀末
素材: ルビー・天然真珠・エマイユ・ダイヤモンド・18金・プラチナ
サイズ:L3.1cm W4.25cm
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France, Late 19th century
Materials: Ruby, Natural pearl, Enamel Diamonds, 18K gold, Platinum
Size: L3.1cm W4.25cm
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