N°1611. 貴婦人の手型彫金細工パーツ飾り付アンティークロングネックレス
フランスの19世紀前期のアンティークロングネックレスをご紹介いたします。
18金製アンティークチェーンを好んでご紹介しているなかでも希少な、1820年 – 40年代のロングチェーンのネックレスで、全て宝飾師により作られており、現存は少ないジュエリーの一つです。
長さは136cmで、トップに長さ3.5cmの手型彫金細工パーツ飾りがあり、ダブルにしますと68cmです。
このソートワールの魅力は、飾り付開閉パーツと、チェーンの形にあります。
飾り付開閉パーツは、取手を持っている貴婦人の手型で、チェーンはまるで鱗のように組み合わせたもので、大変しなやかに揺れる、19世紀ならではのものです。
チェーンはこのように、幅1.5mmの4面体の紐のような、立体チェーンです。
拡大し、今にはもう無いその見事な作りをご覧ください。
この画像の菱形のサイズは幅1.5mm、菱形と菱形の間に、もう一つの小さな菱形を組み込んで交互にし、まるでウロコのように組み合わせてあるのがわかります。
この作りのおかげで、大変しなやかに動き、着けると心地良く、交差させた4面が光を受けて細かく輝きます。
チェーンが136cmで、トップに開閉パーツがついたこのようなロングチェーンは、当時はトップに懐中時計やキー、ペンダントなどをつけていました。(* 画像の懐中時計は非売品です。)
手の部分はこのように、中世の貴婦人のドレスの膨らんだ袖口と手型が、古い扉の彫刻のある取手を持っているデザインです。
手の甲側、側面、手の平側と、360度、全面に彫金細工があります。
開閉はこのように、上の青矢印の先にあるねじ部分の円盤を、下の青い矢印の方向へ回し、鉤型パーツを開きますと、チェーンが外せる仕組みです。
このねじ式部分は19世紀ならではのつくりで、パーツの先は三角錐型で、ネジの方には同じ形にカットした部分が見えます。(青い矢印位置)
ネジの部分にこのような切れ込みを入れつつ、ネジはスムーズに回ります。
このような高度な技術はフランスのジュエリーならではで、開閉パーツだけでも、現代は作ることができません。
貴婦人の手型パーツのサイズは3.7cm 、最大幅0.7cmで、この小さな世界に、フランスの精緻な宝飾技術を注いでいます。
閉じる時には、開いたパーツの先をネジの切れ込みへセットし、ネジを巻き上げると閉じます。
貴婦人の手型パーツの素晴らしいのは、取手を持つ手が上下に動くことです。
手の内側にバーを通し、取手を持つ手が上下に動くように作ってあります。
つまり、本当に手が取手を持っているようにつくってあるのです。
このつくりのおかげで、着けた時にしなやかに揺れ、細やかな鱗状の作りのおかげで、チェーンは繊細に輝きます。
このソートワールの作られたロマン主義時代は、ブルボン王朝の王政復古期で、17~18世紀の王朝時代様式や中世様式が復古したため、このような中世風の装飾が宮廷で流行しました。
飾りパーツはどれも、表面を彫金師が手の表情や取手の文様を彫金して文様を際立たせるよう仕上げています。
このジュエリーは、19世紀ならではのデザインです。
当時はこの肖像画のように、懐中時計やロニエット(ハンドルのついた眼鏡)、シールなどを取り付けて、服に誂えたジュエリー用の小さなポケットへ入れ、時々出してみたり、そのまま下げたりし身に付けていました。
手形の開閉パーツが装飾的ですので、チェーンだけで着けても素敵ですし、懐中時計やペンダントトップをつけて楽しめます。
ダブルチェーンがしなやかに揺れる、貴婦人の手型装飾パーツ付アンティークロングネックレスです。
フランス 19世紀前期
素材:18金
サイズ:全長136cm ダブル68cm
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France, early 19th century
Material: 18K Gold
Size: 136 cm (total length), 68 cm (double length)
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