アンティークジュエリー物語n.1
パリジェンヌとモード
マダム・ランバン I

「 ラ・メゾン・ランバン 」
それは1909年にパリで始まったフランスで最も古いクチュールメゾンの一つ、創始者は19世紀末に生まれたマダム・ジャンヌ・ランバンです。

時はベル・エポックのパリ、アトリエでドレスを創作するエレガントなマダムがいました。


彼女はココ・シャネル、ポール・ポワレらと共にフランスモードの黄金期を作り上げた女性です。
こちらの画像は1910年代の最先端のランバンモード、バランスを変えれば今でも通用するデザインや色、素材遣いが素敵です。


マダム・ランバンはこのような美しいドレスを作り、可憐な子供服も得意で、顧客には現エリザベス女王も名を連ねています。


左下の画像は女王の子供時代、ランバンのワンピース姿でお人形もランバン製です。


シンプルで洗練されたモードはフランスならでは、ランバンのドレスは当時の社交界ではなくてはならぬもの、パリの夏の社交場 ” ロンシャン競馬場 ” や ソワレでは注目の的でした。


そしてマダムは、下の画像背景にみえるルノワールの絵画をはじめとした美術コレクターであり、常にアンティークジュエリーを身につけていたことでも有名でした。
今回は、そんなマダムのシンボリックなジュエリー・コーディネイトをご紹介します。そのコーディネイトとは?
さまざまなダイヤモンドのブローチを、まるでボタンの様に着けることでした。

マダムの部屋にて、” トレィフル(クローバー) ” のブローチを一番上に、中央には ” サークル ” 形のカルティエ製?、そして一番下には ” ローリエ(月桂樹) ” 模様で囲んだ縦長のオニキス&ダイヤモンドとおぼしきブローチを並べ着けています。


マダムには幸運と守護の ” ファミリー・シンボル ” がありました。
それは、

トレィフル(クローバー)やリボン = 結びつき
サークル(円) = 永遠
ローリエ(月桂樹)や蔦 = 神話
マルグリット(マーガレット) = 一人娘の名前

マダムはこのシンボルを常に身につけドレスデザインにも反映しました。
つまり、上の3つのブローチは全てランバンファミリーのシンボルを象ったアンティークジュエリーなのです。
この着け方は当時のパリ社交界ではマダムオリジナルとして知られたものでした。

右端の女性はマダム・ランバンの一人娘のマルグリットで、彼女はポリニャック公爵と結婚し、メゾンの顧客でモデルでした。
ポリニャック公爵夫人も、デザイン違いの3つのダイヤモンド製ブローチを着けています。


ダイヤモンドのトレィフルやリボン・・・大人の女性の可憐ですね。
そして右上の1948−49年のドレスにもリボン形ブローチが登場、このようにドレスデザインへも表しました。

次のコラム n.1bis マダム・ランバン II では、沢山のドレスの中からシンボルをデザインしたコレクションをご紹介致します。

◁ n.1bis クチュールドレス マダム・ランバン II

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